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佐久間side。
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「え?なにそのリアクション」
阿「いや…なんでどこに居るか知ってんのかなと…
あ、本人に聞いたのか」
「いや?」
阿「じゃあなんで知ってんだよ……」
だって見えちゃったんだもん。
Aちゃんが送られて来たURL開いてお店の確認してる画面。
見ようと思ったわけじゃなくてたまたま見えただけ!
そうやって説明したのに阿部ちゃんは難しい顔で「おまえほんと気をつけたほうがいいよ」って。
人を危ない奴みたいに!失敬な!
阿「…まあつまり心配なんでしょ?行ってくれば?」
そう言って康二を呼び止めて自分の分だけビールを頼んだ阿部ちゃん。
「…ぷはっ ありがと阿部ちゃん!
涼太!俺の分ツケといて!ごちそうさま!」
宮「はいはい。お気をつけて」
グラスに残ってたりんごジュースを一気飲みして店を飛び出した。
不可抗力で見えちったAちゃんの居る店まで車を飛ばすけど、そもそもまだ居る確証も無いし。
彼氏が迎えに来て仲良くお家に帰ってるならそれはそれでいーんだけど。
…見つけちゃった。
路地裏に入るところの電柱の陰に、小さく蹲る寂しんぼ。
近くのパーキングに車を停めて急いでその子の元へ走った。
いくらお店の近くっつっても、こんな時間にあんなとこで女の子1人はどう考えても危ないでしょ。
「迎えに行くって言ったじゃん」
椿「さっくん…」
俺を見上げたAちゃんの顔は涙で濡れていて、目も真っ赤っか。
人目もはばからずしゃくりあげるAちゃんは、子どもたちの話にとことん付き合う優しい先生の姿とはまるで正反対で、小さな子どもみたいだった。
.
「そんな遠くは行かないからちょっと佐久間に付き合ってよ!」
半ば強引にドライブに誘ったのは、このまま帰したらまた1人で泣いちゃう気がしたから。
椿「…まだ逃げる幸せあったよ」
俺のアニソンメドレーにコロコロ鈴が鳴るように笑いながらあてもないドライブに付き合ってくれていたAちゃんが、ふとそんなことを呟いた。
「…そっか」
椿「さっきのお店で彼氏に会ったの。」
「あれ?残業は?」
Aちゃんは苦笑いで首を振った。
椿「…女の子と一緒だった」
「え?」
椿「腕組まれても満更でもない感じで…
仕事終わんないから泊まり込みになるって連絡も来た。」
「…浮気だよね」って自分に言い聞かせるみたいに言うAちゃんのおっきな目から、またポロンって涙が溢れた。
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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時