・ ページ3
.
ユイと佐々木ちゃんに着いて行くようにして入った小洒落たイタリアンのバル。落ち着いた雰囲気で…彼と来れたら良かったのにな。なんて。
「あ、もしかして翔太の?」
こっちこっち〜と緩く手を挙げた男性を見つけるとユイが外面の笑顔を貼り付けてその席へ向かう。
…ちょっと待って。
「はじめまして〜田中です
こっちが菊池で、奥が森本」
森「なんで樹が紹介すんの?」
菊「どーも。菊池です」
なんだろう、この溢れ出る陽の感じ…
簡潔に言ってチャラい。
ユイも佐々木ちゃんもはじめまして〜って早速馴染んでるけど、こういう場があまり得意でない私は距離感を掴み兼ねた。
…さっくんとの初めましてだって、ドギマギしてたくらいだしなあ。
あの時は、元々目立つタイプじゃなかったらしいさっくんが私のペースに合わせて少しずつ距離を縮めてくれたから話しやすかったんだ。
本来合コンには向かない人種だし…って心の中で謎の言い訳をして萎縮してたのが嘘みたいに。
.
菊「それは彼氏がナシじゃね?」
「…そう思う?」
田「Aちゃん聞き分け良すぎんじゃない?」
ユイ「言ってやって〜」
森「こんな可愛い彼女居たら彼女中心の生活になっちゃいそうだけどねー」
サキ「そんなこと言ってくれる彼氏超好き!」
気付けば全員で私の恋愛相談に乗ってくれてて、あれ?なんでこうなったんだっけ?
チャラいと思ってた3人は蓋を開けてみればただの話しやすいお兄さん達で拍子抜け。
菊池さんは1つ歳上の塾講師。樹くんは同い年の美容師で、慎太郎くんは2つ歳下。体育の先生をしてるらしい。
もっとみんなヤンチャしてるのかと思ったら案外真面目で
人は見かけで判断しちゃいけないなって反省した。
親身になって聞いてくれるのは有り難いけどせっかくの合コンなのに私の話ばっかりで申し訳なくなってきて、この話おしまいにしよ!って切り出した時だった。
*「やだぁ、コウキくんってば〜」
聞き覚えのない猫撫で声が、聞き慣れた名前を口にしていてゾワっと全身が粟立った。
ユイ「…A?どうした?」
コウキなんて別に珍しい名前じゃない。
だけど、女の勘はよく当たる。
それに今日の私はとことんツイてない。
声の先に視線を向ければ、悲しくも予感は的中した。
田「Aちゃん顔色が…」
「あれ…私の彼氏。」
レジの前に立つ男女。
男性の腕に自分の腕を絡ませる若い女の子。
その男性こそ、残業しているはずの彼氏だった。
718人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時