青天の霹靂 ページ18
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お腹の若干の重みと温もりで目が覚めた。
「ん…?」
なんだろ…毛布じゃなくて…
ぐるぐる…あ、喉が鳴ってる…
「あ…」
目線を下に向けると、昨日すっかり仲良くなったツナだった。
彼を起こさないようにお腹に乗せたまま少しだけ体を浮かせて部屋を見渡す。
私が寝かせて貰っているこの布団一式しかないガランとした部屋はザ・空き部屋って感じ。
…私ってどうやってここまで来たんだろう。
「いっ……たぁ……」
二日酔い特有の頭痛と、体内に残るアルコールの不快感。
出来ることなら起き上がりたくない。
でもシャワーを浴びなきゃ気持ち悪い。
葛藤した結果、ツナに断りを入れて体を起こし、ひとまずリビングを覗いてみた。
「まだ5時か…」
リビングの時計は5時前を指していて、綺麗に片付けられたローテーブルにきっと阿部ちゃんだ…と申し訳ない気持ちになった。
阿部ちゃん…そういえばなんか忘れてるような…
「あれ」
ソファーに目をやるとクッションに紛れて増えている塊。
ふわふわの猫っ毛とそれに寄り添うようにくっつくシャチちゃん。「おれもー!」って感じでツナがさっくんに飛び乗った。
佐「うっ…」
大丈夫かなってソファーの前に座って様子を見てたけど、さっくんは一瞬顔を顰めただけで目は瞑ったまま、また眠りに落ちていった。
喉、渇いたな…
でも勝手に色々触るのは気が引ける。
迷っているとガチャガチャっと玄関から鍵が開く音がして心臓がドキッと跳ねた。
こんな時間に誰…いや、私が誰か!
鉢合わせたら気まずいよね、どうしよう!
「ただいまー…」
焦った結果、咄嗟にカウンターキッチンの中にしゃがみ込んじゃって。
控えめな「ただいま」と一緒にリビングに人が入って来た。
昨日から思ってたけど…ここの人たち、みんなちゃんと「ただいま」と「おかえり」を言い合ってていいな。
私は…誰も居ない部屋に向かって「ただいま」を言うのが虚しくて、最近は言ってなかったけど。
待っててくれる人が居るって、羨ましい。
「うわっ!」
「っ!」
ぼんやりしてたらその人がキッチンに入って来て、昨日の康二くんみたいに凄い目で見られた。
けどこの人の場合、不審者に間違えられてもおかしくない…なんとか弁解しなきゃやばい…って思ったけど。
「あんたがAちゃん…?」
「え…」
声を潜めて私の名前を口にしたその人は、「これ」って1枚のメモを私に見せた。
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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時